2023/02/06
コミュニティ
コラム
【農家コミュニティ】#FOODlab運営開始から3年目の振り返り

FOODBOXでは、2020年8月から食・農業系のオンラインコミュニティ「#FOODlab(フードラボ)」を運営しています。発足から約2年半が経ち、コミュニティ拡大に向けた活動の軌跡を紹介しながら、振り返り記事を書きました。食・農業に限らずコミュニティの運営に携わっている方、これからコミュニティ運営を始めたい自治体や企業の参考になれば嬉しいです。
食・農業系のオンラインコミュニティ「#FOODlab」とは
#FOODlabとは、FOODBOX株式会社が運営する、農家や食・農関連事業に携わっている方、食・農業に興味がある方が集まる、Facebookグループをベースとしたオンラインコミュニティです。ここでの「コミュニティ」は、一つのドメインに、個人が共通の目的をもって集まる、メンバーシップ性の組織と定義します。
#FOODlabは、「食・農業」と言うドメインに、新しい繋がりや学びを求めるメンバーが全国から集まる、総勢116名(2023年2月現在)のコミュニティです。

詳細や参加方法はこちらの記事をご覧ください!
コミュニティ発足の経緯
発足以前は、2019年9月から代表 中村の実家「フルトリエ中村果樹園」のカフェを利用して、福岡県内の農家・農関連企業のリアル交流会を月1回のペースで開催していました。
交流会は毎回約50名が参加するほど大盛況で、そこでできたご縁から、参加者同士のビジネスに繋がるケースもありました。翌年、2020年1月・2月も開催を予定していましたが、コロナウイルスが流行し始め、苦渋の末に中止の決断をしました。
どうにか、この横の繋がりが途絶えないように、この未曾有の事態を共に乗り越えられるように と思い、2020年8月にFacebookグループを使った、有料のオンラインコミュニティ「#FOODlab」を立ち上げました。
コミュニティ運営の成功の定義
私たち運営は、本コミュニティの成功を「メンバー同士が自由に繋がり、新しい価値を生み出す状態」と定義しています。新しい価値については、ビジネスの創出やプロダクトの制作、ノウハウの共有など広義に捉えています。メンバーは200名-300名と爆発的に増やしたい気持ちはなく、熱量の高いメンバーに参加頂き、コミュニティを成長させたいと思っています。
コミュニティ運営における、これまでの活動
この章では、約2年半のコミュニティ運営の軌跡をご紹介します。主な活動はこちらの5つです。
- (1)オンラインイベントの開催
- (2)リアル交流会の開催
- (3)アーカイブ動画の配信
- (4)Facebookグループ内での投稿・コメント
- (5)参加者同士のマッチング
それでは、発足~現在にかけての活動について振り返っていきます!

2020年8月~2021年7月
発足日は2020年8月25日。代表の中村が、初回のトークイベントに登壇しました。事前に知人・友人の農家や農関連企業へ声を掛け、約50名が参加。2020年9月~12月は、コミュニティメンバーに登壇頂くトークイベントを計9回開催し、福岡で少人数のリアル交流イベントを1回開催しました。

当時は、いきなり有料会員になることに抵抗がある方向けに、お試し参加(1回イベント参加無料)を実施していたので、コミュニティの雰囲気を知ってから本入会される方がほとんどでした。イベントを開催する度、1-2名参加者が増え、2020年12月時点では約70名になっていました。
2021年1月~7月にかけては、外部から専門家をお呼びして登壇形式のオンラインイベントを16回開催し、お試し参加からの本入会も加速して約100名にまで参加者が増えました。
100名もの方々にご参加頂けたのは、2021年4月にオンラインコミュニティ専用のWebサイトを開設したことが大きいと思います。Webサイト開設前は、イベントの告知はSNSで行い、入退会・決済は全て手動(1対1の連絡)だったので、効率化するためにWebサイトを作りました。Webサイトも開設するだけでは流入は伸びませんので、メディア露出する際はリンクを貼って頂いたり、SNSでの拡散も継続していました。すると、FOODBOXメンバーの誰とも繋がりのない方からの申し込みが徐々に増えていったのです。
そんな行き当たりばったりな1年目でしたが、#FOODlabのメンバー同士が関わり合い、共に前進するきっかけも生まれました。例えば、養蜂に興味のある学生が養蜂家の元でインターンを始めたり、有機栽培で新規就農したい方が、有機農家の元へ修行に行ったり。どちらも#FOODlabを起点に始まった取り組みです。
- 【2020年8月~2021年7月まとめ】
- ・イベント開催数:26回(リアル開催含む。オンラインイベントのアーカイブ動画配信)
- ・コミュニティ参加人数:約100名
- ・Facebookグループ内での投稿・コメント: 自己紹介投稿
- ・参加者同士のマッチング:2組ほど
- ・その他:2021年4月から専用Webサイト開設
2021年8月~2022年7月
FOODlab2年目は、記念のオンラインイベントとしてファームサイド(株)の佐川さんにご登壇頂きました。その記念イベントを期に新規入会者は増えましたが、「入会したものの、知らない人たちに向けて投稿したり、いきなりイベントに参加するのはハードルが高く感じる」と言う、オンライン故のコミュニケーションの課題が露呈し、Facebookグループ内のエンゲージメントが低下しました。
そこで、2021年10月~12月にかけて、月1でコミュニティメンバーのみが参加できる「オンライン交流会」を開催し、”半ば強引に”メンバー同士で会話をして頂きました。さらに、運営メンバーで「他己紹介」と題して、一人一人、メンバーの紹介投稿をして行きました。

その成果もあって、投稿へのエンゲージメントも回復し、メンバー同士で商品開発のコラボや共同マルシェ出店、農場訪問等の交流が徐々に増えてきました。全体を見渡せる運営者は、お節介過ぎるくらい強引にアプローチしないと、コミュニティは自然と衰退してしまうと実感しました。
2022年1月~7月にかけては、東京・大阪・福岡で各1回ずつリアルの交流会を開催し、オンラインイベントは8回開催しました。登壇形式のイベントは主に2つのニーズに応えることを前提に企画しています。
- 【主なニーズ】
- (1)どんなメンバーが参加しているのか詳しく知りたい
- (2)自身の事業(実利)に繋がる○○について知りたい
(2)の「○○」については、仮説を立てて企画する場合もあります。
一人一人と向き合った2年目は、多少のメンバーの入れ替わりもありましたが、過去最高の参加人数130名にまで増えました。運営の裏話にはなりますが、決済方法がクレジットカードと銀行振込の2パターンあり、特に銀行振込の未払い対応や入金額の間違え等があり、かなり決済管理が煩雑になりました。決済方法はなるべくクレジットカードのみにすることをお勧めします…!
- 【2021年8月~2022年7月まとめ】
- ・イベント開催数:18回(リアル開催含む。オンラインイベントのアーカイブ動画配信)
- ・コミュニティ参加人数:約130名
- ・Facebookグループ内での投稿・コメント:運営からの他己紹介投稿、Messengerでメンバー間の個別のやり取り
- ・参加者同士のマッチング:8組ほど
2022年8月~2023年2月現在
#FOODlab3年目は、前年と同様に記念イベントとして、Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2022にも選ばれた、(株)TeaRoomの岩本さんにご登壇頂きました。岩本さんの造詣の深さと、熱意から生み出される「ここでしか聞けない話」に、リアルタイムで参加したメンバーの全員が食い入るように話を聞いていました。イベント終了後、複数名から個別に「FOODBOXありがとう!」「#FOODlab入ってて良かった!」とメッセージを頂き、初めて「価値提供」と言う言葉の意味を体感しました。
コミュニティ運営全体の大きな変化として、企業会員のプランを設けました。2022年は3社の企業にご参加頂き、社員がFacebookグループに入って他のメンバーとの交流やイベントに参加頂いている状況です。※ご面談を通してご参加頂くか判断させて頂いていますので、ご希望に沿えない場合がございます。ご了承ください。
その企業会員との初のタイアップとして、日硝実業(株)の九州営業所のショールームで加工品販売のステップアップに向けた参加型イベントを開催しました。

3年目は、イベントの本数を減らして、一つ一つの企画の精度を高め、参加者に実利のあるコンテンツを届けていく方針です。まだ途中ではありますが、3年目のまとめはこちら。
- 【2022年8月~2023年2月現在まとめ】
- ・イベント開催数:6回(リアル開催含む。オンラインイベントのアーカイブ動画配信)
- ・コミュニティ参加人数:116名
- ・Facebookグループ内での投稿・コメント: メンバーからの発信、自己紹介投稿
- ・参加者同士のマッチング:2組ほど
- ・その他:企業会員3社加入
コミュニティ運営の課題と改善案
ここからは、現状、早急に改善したい3つの課題をご紹介します。
①(世間的にも)Facebookの利用頻度が下がり、コミュニティのプラットフォームとして満足に機能していない
#FOODlabでは非公開のFacebookグループを作って、その中でイベントページを立てて集客をしたり、自己紹介投稿をしたりしています。コミュニティ発足初期の2020年はコロナの影響もあってか、Facebookも見られていた傾向にありますが、2022年になってからは、エンゲージメント率が更に下がりました。メンバーからも、「リアルタイムで参加したかったのにイベント告知に気づかない」「メンバーのコラボ募集等の呼びかけに直ぐに反応できない」と言ったお声を頂きました。
改善策として、イベント告知や募集、重要なアナウンスは、生活インフラである「LINE」を使おうと考えています。「LINE」だけに絞ると、後から入った人は過去の投稿が遡れないので、Facebookと「LINE(公式アカウント)」の両輪でテスト運用することにいたしました。(2023年2月時点:準備中)
②オンラインイベントで大人数だと質問がし辛い
日本人らしい悩みではありますが、リアルで一度も会ったことが無い人同士なので、更にハードルに感じる人もいるようです。また、メンバー曰く、「質問ありますか?」と言う質問自体が難問なんだそうです。それよりも、ラフに会話をして、その中で聞きたいことが出てきたり、自分の考えに対して相手に意見を求めたりするのが良いのだそうです。大規模なセミナーでは質疑応答の時間は設けるべきですが、#FOODlabは小さなコミュニティなので、「ラフに会話をする時間を設けられる良さ」がありますね。
改善策として、毎月上旬にフリートークの座談会を開催することにしました。運営としても、そこで皆さんのやりたい事やコミュニティに求めることを聞いていきたいと思います。
③新規メンバーから「イメージと違ったがどうしたらいいのか?」と言う質問が来る
これは、#FOODlabが食・農業に携わる方全てを対象とした、ターゲット層が広いコミュニティだから来る質問かもしれません。メンバー限定にしか公開していないコンテンツもありますし、オンラインがメインなので、雰囲気が伝わる写真も少なく、ほとんど日々の活動の写真を外部に掲載していません。
改善策として、2つ取り組む予定です。1つ目は、新規メンバー向けに入会直後、ZOOMでコミュニティの紹介を行うことです。今までも新規の方へご挨拶を兼ねたメッセージはしていましたが、今後は、コミュニティの詳しい説明と新規メンバーさんが期待していることを直接伺おうと思っています。
もう一つは、noteでイベントのアーカイブ動画の切り抜きを使って、雰囲気や学び、参加者の声を一般公開して行きます。既にこの企画はスタートしていますので、気になる方は是非FOODBOXのnoteをチェックしてみてください!
コミュニティ運営を2年半続けて気付いたこと
最後に、コミュニティ運営を2年半続けて気付いたこと3つをご紹介して終わろうと思います。
① 一人では会えないような人でも、100人が参加するコミュニティがあれば、登壇者として招いて話をして頂くことができる
これまでの登壇頂いた方は、業界の表舞台で活躍されている方だったり、業界を裏で支える方だったり様々です。登壇頂ける場所としてコミュニティがあったからこそ、ご快諾頂けたのだと思いますし、普段聞けない貴重なお話を聞くことができました。
② オンラインには参加しないが、リアルイベントには参加する人もいる
元々リアルが好きでオンラインが苦手な方は、あまりオンラインイベントに参加しません。それでも、リアルイベントの際は遠方からでも毎回参加してくださいます。コロナを経験して、リアルの価値がより一層高まったのもあり、いつも新しい繋がりや新しい話を求めて、遠方から来てくださるので、開催頻度は下げないようにして行きたいと思います。
③ 「メンバー自ら 投稿する文化」が芽生え始めるのは少なくとも2年はかかる
これはコミュニティにもよるかもしれませんが、#FOODlabは少なくとも2年はかかりました。根気強く運営から声掛けをしたり、能動的に発信してくださる方に乗っかるように、他の方にも投稿を促してみたり、地道な努力が必要です。もちろん、投稿に対するコメントも欠かせません。周りに「コミュニティを運営している」と言う話をすると「面白そう!羨ましい!」と有難い言葉を頂きますが、そんな綺麗なイメージとは裏腹に、根気と時間のいることなのです。
他のオンラインコミュニティとの比較は滅多にしませんが、ある新規の入会者の方から、
「農業を生業としている人が多そうで、”本気度”が他のコミュニティと違うと思った。」
と、熱のこもったコメントを頂いたことが印象に残っています。
恥ずかしいくらいに歩みは遅いですが、熱量の高いメンバーと共に、#FOODlab運営が定義する「コミュニティの成功」に向けて一歩ずつ近づいていきたいと思います!
少しでも#FOODlabが気になると思った方は、ぜひこちらのボタンからWebサイトをご覧ください。長文のお付き合い、ありがとうございました!