2022/11/05
コラム
スマート農業
【2022年版】農業用ドローン市場の現状とこれからを統計数値をもとにご紹介
農業用ドローンは、人材不足をはじめとする農業界の様々な課題を解決するのではないかと現在注目を集めています。
本記事では、そんな農業用ドローンの現状と、これからどうなっていくのか?という見通しを、農林水産省の発表している統計数値と弊社FOODBOXの知見をもとにご紹介していきます。
農業用ドローンの市場は伸びているのか?
農林水産省が出している『令和3年度 農業分野におけるドローン の活⽤状況』という資料を見ると、農業用ドローンの販売台数が見て取れます。
下記がそれをグラフ化したものです。(ここでの用途は、農薬散布です。)
グラフを見ると、農業用ドローンの販売台数は2018年から2020年にかけて着実に伸びており、特に2019年から2020年の伸びが顕著です。農業用ドローンの市場自体が伸びている理由として、農業用ドローンが
- 1.人手不足である
- 2.農作業のスケジュールが天候に左右される
という農業界の抱える課題をクリティカルに解決するものであることが挙げられます。
①農業用ドローンと人手不足
2015年以降、日本国内の農業従事者数は毎年減少しており、農業界は慢性的に人手不足となっています。外国人技能実習生、アクティブシニア、主婦のパートで人手不足を補っていましたが、2020年のコロナウイルスの流行以降はそれも難しくなり、人手不足に拍車がかかりました。
人手が必要な作業の一つに農薬散布が挙げられますが、人手不足な中、1人で広大な土地に農薬を散布することができるという点が決め手となり、農業用ドローンの普及に繋がったのです。また、ドローンで農薬を撒けば、重い動力散布機を背負う必要も無くなり、重労働を減らすことにもなるのです。
農薬散布においては、ドローンに代わるものとして農業用無人ヘリコプターがあります。農業用無人ヘリコプターのオペレーターになるには、操縦資格(産業用無人ヘリコプター技能認定証)が必要になります。さらに、農業用無人ヘリコプターはオペレーティングする際に3-4人でチームを組む必要があり、1台当たりの値段もとても高く、墜落させた際のリスクも高いため1農業生産法人が導入するにはハードルがあります。
多くの農家にとっては、安価で、1人で操縦できるドローンの方に優位性があったため、急速に普及したと言えるでしょう。
②農業用ドローンと天候
農業における作業スケジュールは、台風などの天候変化により変更せざるを得ない場合があります。スケジュールが変更された際も、ドローンは一人での作業が可能であるため調整が容易であるという点も、農業用ドローンが普及した強い理由の一つと言えます。
③農業用ドローンと補助金
人手不足の深刻化により、補助事業『スマート農業の全国展開に向けた導入支援事業のうち農業支援サービス導入タイプ及び一括発注タイプ』や『産地生産基盤パワーアップ事業』等が設けられ、当事業でドローンの購入が対象になったことも、2019年から2020年にかけての農業用ドローンの普及を後押ししました。
2021年以降、導入している農家が増えて一般的になりつつあること、国土交通省から認定を受けた農業用ドローンの資格を取れる場所が増えたこと等から、農業用ドローンはもっと普及していくと考えられます。
農薬散布と農業用ドローン
現在、農業用ドローンは主に農薬散布手段として使われています。『令和3年度 農業分野におけるドローン の活⽤状況』の中の、ドローンによる農薬等の散布実績が以下です。
やはり、農業用ドローンの普及とともに、ドローンによる農薬散布面積も増えています。次に、ドローンに適した登録農薬数の推移を見てみましょう。
作物の種類によってばらつきはあるものの、稲・麦類を中心に増加しています。とはいえ、目標農薬登録数に足りていないものも見受けられるので、2022年3月以降も増えていきそうですね。
1つの農薬を登録するのに、3-5年の歳月と10億円以上ほどの費用がかかると言われています。
登録された後に、農家に使ってもらうことにより初めて費用を回収することができるのです。つまり、農薬メーカーは、将来費用を回収できる見込みがないと登録しません。稲・麦類の農薬の登録数がずば抜けて多いのは、米を作っている農家が多いからと言えるでしょう。
農業用ドローンの今後
上でも述べましたが、今後も農薬散布の手段の1つとして、農業用ドローンの市場は伸びていくことが推測できます。加えて、農業用ドローンには、農薬散布以上のポテンシャルが眠っているのです!
例えば、近年ではドローンの積載量やバッテリーの持続時間の向上により、ドローンによる肥料散布が実用化され始めています。将来的には、種を播くことへの活用も行われるでしょう。散布以外にも、ドローンを使った空撮で画像を収集して、作物の生育診断や害虫の発生状況の確認に用いることもできます。
このように、ドローンの活用範囲の拡大とともに、ドローン市場はまだまだ伸びていくと予想されます。
最後に
農業用ドローンは、その普及に伴い散布代行、アフターメンテナンスをはじめとした周辺事業も拡大していくことが推測されます。しかし、急速に市場が拡大する一方で、農業用ドローンで収集したデータの活用などはなかなかされていないのが実情です。
弊社FOODBOXは、農業用ドローンに関する豊富なナレッジと農家へのネットワークを備えております。農業用ドローンを活用してより良い農業の未来を作っていくお手伝いさせていたきたいと考えております。
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