2022/11/30
コラム
スマート農業
農業用ドローンとは?気になる操縦資格や初期費用について解説します
日本では、農業従事者の減少や高齢化を背景に、最先端技術を活用したスマート農業が注目されています。そして、そのスマート農業の代表格が「農業用ドローン」です。
農業用ドローンは普通のドローンとどう違い、何のために使われ、使うためには何が必要なのでしょうか?本記事は、そんな農業用ドローンについて知っておくべき基本事項をまとめました。
農業用ドローンの定義
そもそも、ドローンとは「無線で遠隔操縦することのできる、小型の無人航空機」のことを指します。
そして、「農業用ドローン」とは、液剤を入れるタンクや農薬散布用ノズル、防水・防汚コート等の機能が備わった、農業のために使用されるドローンの総称です。
農業用ドローンの使用用途
農業用ドローンが活用される農作業とは主に、
- ◎肥料・農薬の散布
- ◎播種
- ◎受粉
- ◎荷物の移動
になります。ドローンによる上記の農作業に共通して言えるのは、背負式散布機よりも広範囲を短時間で、負担なく行えるということでしょう。
中でも、最も活用されている用途は農薬散布になります。ドローンを使えば、操縦者1人(+補助員1人をつけた、2名体制を推奨しております)で一定規模の農地への散布が可能です。2022年現在の主な用途は農薬散布となっていますが、ドローンの積載量やバッテリーの持続時間の向上により、ドローンによる肥料散布や直播なども実用化され始めています!
ドローンに搭載されたカメラの画像認識技術を用いた
- ◎作物の生育診断
- ◎害虫の発生状況の確認
などの活用方法も実用化に近づいています。農業用ドローンのポテンシャルには目を見張るものがありますね。
農業用ドローンのオペレーター(操縦者)資格
ドローン自体に操縦免許という概念は存在しませんが、農業用ドローンには「認定資格」というものがあります。「国土交通省の管理団体が認定したドローンの機体(以下、認定機)の購入/使用には、認定資格が必要」というルールです。
つまり、「認定資格」が必要かどうかはどの機体を使うかによって変わり、認定機以外を使う場合には、資格取得の必要はないということになります。
認定機以外の操縦には資格が必要ないとはいえ、農業用ドローンの使用を検討している場合、認定資格の取得をお勧めいたします。
理由としては、
- ◎認定機は農業での使用を前提として作られており、散布性能が保証されている
- ◎資格取得を通じて、ドローンそのものへの理解が深まり、事故などのトラブルを未然に防ぐことができる
- ◎認定機の方が受け取れる補助金/助成金の幅が広い
ことが挙げられます。
農業用ドローンの初期費用
農業用ドローンを導入するにあたって、気になるのが導入にかかるコストですよね。農業用ドローンの購入にかかる費用は、おおよそ
- 機体本体の価格 + 周辺機器の価格
で求めることができます。
農業用ドローン本体の価格帯
ドローンの価格は、自動運転のものか手動運転のものかによって価格帯が違います。
- ◎自動運転:約150~350万円
- ◎手動運転:約80~150万円
機体の価格に加えて、メーカーが商品に付ける保証の費用がかかる場合もあります。
農業用ドローンの周辺機器の価格帯
多くの農業用ドローンは、現在1バッテリーでの飛行時間が15分・1ha程度と短いため、交換用のバッテリーが必要であるといえます。
圃場の広さにもよりますが、予備の交換用バッテリーは5~10個程度は用意しておきたいものです。交換用バッテリーが1個20~30万円ほどであるため、必要なバッテリー費用は100万円~300万円となります。
よって、機体と予備のバッテリーを合わせて、
- ◎自動運転の機体:約250~650万円
- ◎手動運転の機体:約180~450万円
が必要であると考えられます。機体の価格差もありますが、バッテリーの必要個数によって初期費用が大きく異なってきます。
しかしながら、ドローン自体の性能は日々向上しており、最近ではバッテリー性能の高い機種も展開されています。飛行効率が上がることで、予備バッテリーの部分のコストは抑えられるようになっていくのではないでしょうか。
農業用ドローンのメンテナンス費用
農業用ドローンには、もちろん日々のメンテナンスコストもかかります。メンテナンスの相場は、
- ◎基礎点検
- ◎消耗部品一式
- ◎国土交通省更新申請
などを含め、大体10万円/年 前後となります。
農業用ドローンを現場で使用するために
前述したように、国土交通省の管理団体が認定したドローンの機体を使用する場合、認定資格を持ったオペレーター(操縦者)が必要です。オペレーターを用意する方法は大きく分けて3つあり、
- (1)自社の社員に認定資格を取得させる
- (2)認定資格を持った社員を新しく雇う
- (3)認定資格を持った業者(地域の防除組合、代行業者)に委託する
となります。
自社で全て補えるのがベストかと思いますが、機体のメンテナンス費用等もかかるので、自社の状況に合わせてご検討ください。
ドローンを飛ばす時に必要な人数
基本的には認定資格を持ったオペレーターが1人いれば農業用ドローンを飛行させることが可能ですが、オペレーター(操縦者)1名と、補助員1名の2名体制で操縦を行うことが推奨されています。
補助員は、オペレーターに圃場の端を合図で知らせ、ドローンが自分の土地以外を飛行しないようにサポートする役割となります。
農業用ドローンの保険
農業用ドローンは高価なものであるため、破損 / 墜落による紛失 / 盗難 / 賠償 といった様々なリスクに備えておく必要があります。そのために有効なのが、保険会社や一部のドローンメーカーが出している『農林水産用ドローン総合保険』になります。(保険の名称や補償名は会社によって若干異なります。)
本記事では、確認しておくべき重要な補償の切り口を3つご紹介します。
機体補償
上述した通り、突発的な事故により、ドローン本体が破損した場合や、盗難に遭ってしまった場合に適用される補償です。また、墜落させてしまい捜索が必要な場合に、その金額を補償するというものもございます。
農業用ドローンを扱う場合に最低限必要な、基本的な補償内容といえるでしょう。
賠償責任補償 – 他人の身体・財物
ドローンの操縦に起因して他人の身体や他人の所有物を傷つけてしまった場合に適用される補償です。具体的には、
- ◎ドローンの着陸時に人と接触し、怪我を負わせてしまった
- ◎操縦ミスにより、他人の家にドローンが墜落してしまい、家屋が破損した
特に、他人の身体に危害を加えてしまった場合、その支払いは高額になるリスクがあるため、この補償も加えることを強くお勧めします。
ドリフト補償
ドローンによる農薬散布、肥料散布、播種、受粉などにより、他人の身体・所有物に損害を与えてしまった場合に適用される補償です。見逃しがちな農業用ドローンならではの補償の切り口と言えるでしょう。具体的には、
- ◎ドローンで散布した農薬が風に流され、隣の畑に飛散したところ、その畑の作物が出荷できなくなってしまった
- ◎ドローンで散布した農薬が風に流され、近くの養蜂場へ飛散したところ、蜂が死亡してしまった
といった場合などが挙げられます。
こちらも、もし危害を加えてしまった場合、その影響が広範囲に渡ってしまう危険性があるため、加えた方が良いと言えるでしょう。
最後に
各ドローンメーカーの技術も向上し、農業用ドローンの市場は急成長していますが、保険やメンテナンス、認定資格等の周辺事業は発展途上です。
弊社FOODBOXは、農業用ドローンに関する豊富なナレッジと農家へのネットワークを備えております。農業用ドローンを活用して、より良い農業の未来を作っていくお手伝いさせていたきたいと考えております。
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